<PCウイルス>遠隔操作、昨年作製は3億種...検知の7割

 犯行予告を書き込んだとして誤認逮捕された被害者のパソコン(PC)から検出された遠隔操作ウイルス。コンピューターウイルス対策会社「シマンテック」によると、昨年1年間に世界中で作られた遠隔操作ウイルスは3億種類近くに上り、セキュリティー対策が十分でない一般人などの被害が増えると懸念されている。

【誤認逮捕のもとになった】ウイルス感染後の遠隔操作の流れ

 シマンテックは200以上の国・地域で構成するネットワーク上のセンサーを通じ、新種のウイルスを検知している。昨年新たに生み出されたウイルスは約4億300万種類。1日平均で約110万種類のウイルスが作られ、このうち約7割が遠隔操作の機能を持っていたという。

 専門家によると、今回の事件で使われたウイルスは「真犯人」が作り出した新種とみられ、専門家の間では通称「バックドア(裏口)型」に分類される。

 バックドア型は、他人のPCに攻撃者が出入りできる「裏口」を作り出し、遠隔操作する手法。ネットバンキングの不正送金などにも使われるが、現金を引き出す「出し子」の動きが事件解決につながることが多い。

 しかし、今回は「真犯人」がウイルスを使って▽他人が犯罪予告文を掲示板などに書き込んだように見せかける▽感染したPCの画面を数秒ごとに撮影させて自分の元に送らせる--などしかしておらず、金銭を得ようとする動きもない。捜査関係者は「他人に成りすますことだけをこれほど明確に狙ったサイバー犯罪は例がない」と話す。

 遠隔操作ウイルスは90年代末に登場し、国内でも05年前後から被害が顕著になった。昨年発覚した防衛産業に対するサイバー攻撃事件などでは防衛関連情報が流出した可能性がある。ネットバンキングの不正送金事件も多発し、昨年以降の被害は約3億円に達した。

 それでも明るみに出るのは氷山の一角とみられ「トレンドマイクロ」の多賀谷一央(かずひさ)コーポレートコミュニケーション課長は「知らぬ間にメールの連絡帳を見られたり、オンラインゲームのアイテムを盗まれた被害は無数にあるはず」と指摘。「ディアイティ」の青嶋信仁セキュリティーサービス事業部長は「一般人や運用管理者を狙った犯行は増えるだろう」とみる。【小泉大士、喜浦遊、松本惇】

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